任意売却と競売の違い

【任意売却と競売の違い】

・任意売却とは
任意売却とは、住宅ローンで不動産を購入後、その住宅ローンの滞納や返済が困難になってしまった際に、借主と各金融機関の合意により不動産を売却することです。

・競売とは
住宅ローンの滞納や返済が困難になってしまった際に、借入れの担保となっている土地や建物などの不動産を裁判所を通して強制的に売却する法的手段のことです。
①担保不動産競売
抵当権をもっている貸金業者が対象の不動産の管轄である地方裁判所に対して申し立てを行うことです。
②強制競売
抵当権をもっていない貸金業者が、借金の存在と範囲を証明することで裁判所が強制的に差し押さえ、競売にて売却し、貸金業者への返済に充てることです。
抵当権:住宅ローンを借りるときに購入する住宅の土地と建物に金融機関が設定する権利

・任意売却のメリット
任意売却の場合、通常の販売方法で売り出すため、所有者の経済事情が周囲に知れ渡りません。
また、所有している不動産を市場価格で売却できるため、競売に比べて高く売却できる可能性が高く、納得した価格での売却が可能であり、競売よりも残債が軽減されます。
競売では夜逃げが多く、夜逃げされてしまうと債権者は競売後、債務者と連絡が取れなくなり、売却後のローン残債が未回収というケースがあります。債権者からすると、任意売却の方が売却後のローン残債の回収率が高く、債権者にとっても売却後の残債回収は任意売却の方がスムーズというメリットがあります。

・競売のデメリット
競売の場合は、任意売却と比較して売却価格が安価になりやすく、最低売却価格は裁判所が委嘱した不動産鑑定士の調査状況を確認して決定します。
価格の目安は市場価格の40~70%であり、一番高額で入札をした人が落札となります。最終的に市場価格の80%前後で落札されるケースが多いですが、競売であれば、売却価格が20~50%に下がってしまいます。
また、競売は国家権力(裁判所)が行う売却のためルールが厳格かつ強硬手段であり、手続きも厳しく時間がかかるもので、申立てから実行まで半年以上かかります。また債権者、債務者ともに競売のルールに従う義務があり、話し合いの余地はありません。
競売では裁判所やインターネットで公告されるため、競売物件として友人知人や近隣の住民に知れ渡る可能性が高くなります。

・任意売却と競売の共通点
①ブラックリストに名前が掲載される
②売却後の残債は返済する必要がある
競売と任意売却のどちらも住宅ローンの一括返済を求められた際の売却方法であり、債権回収の1つの手段でありますが、上記2点が共通点として挙げられます。
住宅ローンの一括返済を求められる対象は、既に3ヶ月以上住宅ローンの返済を滞納している人たちです。ブラックリストはこの住宅ローンの滞納時点で名前が掲載されてしまいます。そのため、競売や任意売却をきっかけにブラックリストに掲載されるのではなく、住宅ローンの滞納をきっかけにブラックリストに掲載されます。
また売却によってローン残債が完済できなかった場合、その残債は競売または任意売却であっても完済する必要があります。

まとめ
任意売却、競売ともに売却方法の1つではありますが、競売に関しては法的手段として強制的に売却させられるものです。
売却価格が低くなることはもちろん、強硬的なルールに従った上でリスクを伴った手段になるため、よりリスクが軽減される任意売却の方が有力と言えます。

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